ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

飽きもせず(ss)



今日の角都はいつもよりさらに意地が悪かった。向き合って跨っているオレの都合はそっちのけで、自分のやりたいようにオレを使う。初めはそれでもよかったけどだんだん辛くなってきた。あれだ、ずっとくすぐられていると気が狂いそうになるが、あれによく似ている。オレはできるだけドスのきいた声で、テメーいい加減にしろ、と言ってみたけど全然聞いていないようなので、やめろよ、と付け加えようとして、よした。きっと角都は何をやめてほしいんだと訊いてくるだろうし、そしたら奴に対して律儀なオレは○○を××しないでくれなどと余計なことを言ってしまうに違いない…。唇を噛みながらそんなことを考えているうちにまた波が来て、ヘトヘトになりながら本日三度目の開放をやらかそうとしたオレを、角都の指が引きとめた。強くつかまれ先端に爪を立てられてオレはつい呻いてしまう。何か言いたそうだな、言いたいことがあるなら言え、飛段。ねっとりとした企み声に目を上げると、声と同じぐらいねっとりとした視線にぶつかる。ひどく腹が立ち、オレは右手を力いっぱい水平に振り切った。当たるなんて思っていなかった。けれども裏拳は実にクリーンに角都の横っつらにヒットし、マスクを飛ばした。ぎょっとするオレの前で、傾いだ頭をゆっくり戻した角都は、ずれた頭巾をつかみ取ってそれで鼻血を拭き、こちらに視線を流してきた。うわあ、とオレは自分の行く末を案じながらも相棒の色っぽい風情に目を奪われる。わかっているんだ、角都が色っぽいのも意地が悪いのも。なのにオレはじたばた暴れてオンオン叫びながら、結局今日も飽きずに相棒に惚れるのである。