ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

目は心の窓(ss)

ss

飲み屋のテーブルで角都が読んでいる雑誌の裏表紙が、はだかの女の写真だった。たいしたこともないが、はだかははだかだ。何の気なしに飛段はそれを眺めていた。そのうち角都が雑誌を持ち直すと、親指が女の股を押さえ、そのままそこに留まった。飛段はその…

結局は幸せ(ss)

ss

仕留めたばかりの賞金首の名前を角都は思い出せない。賞金の額は覚えているのに。しかたなく手元にあるビンゴブックをめくって探す。待ちくたびれた飛段も手伝う。ようやく探し当てたページを折り曲げて印をつけている角都に、おめぇボケたんじゃね、と飛段…

心配していた俺の時間を返せ(ss)

ss

その日の飛段は戦闘相手への攻撃を何度も外し、角都から大目玉をくらったが、怒られている最中にもぼんやりするなどどうも様子がおかしかった。街中で買い求めた肉の串焼きを飛段が残したことで角都は初めて不安になり、まだ日が沈まぬうちに宿を取って休息…

寒さ(ss)

ss

低い雲からときおり雨がぽつりぽつりと落ちてくる。さほどではないが風もある。地平線に黒々と貼りついた森まで枯れた芦原が広がる。見えるものはすべて灰色の濃淡で、隣の相棒が背負う赤い鎌すら黒ずんで見える。その相棒が何か言った。こないだここでしん…

特にすることがない日(ss)

ss

ちょっと考えてみろよ、例えばオレにねーちゃんがいて、オメェがそれとつきあってるわけ。そんでねーちゃんがオメェをうちに連れてくるんだな、親に会わせに。そこにオレもいんだよ。で、オレがオメェを気に入っちゃってオメェもまんざらでもなくて、でもね…

それでも結んでやる(ss)

ss

飛段を指名しての護衛の依頼が入った。女の政治家だから見栄えを気にしたのだろう。自身は働くことなく報酬とは別に支度金まで得た角都は上機嫌で、依頼主の注文通りの装束を飛段に買い与えた。シャツ、スーツ、ベルト、靴下、靴、武器用のホルスターは問題…

意地(ss)

ss

角都がバイトを引き受けてきた。どこぞの里の抜け忍グループを始末すると大金が入るのだという。カネのための殺しなんて鎌が汚れらァと言ったら手助けなど不要と返された。やれることをやるだけだ。そう言って普通に出かけていく。小言を言う奴がいなくなっ…

おめでたい新年(ss)

ss

高額の仕事を請け負いに行き、そのまま依頼主の新年会へ招かれた。二日後には殺される予定の者たちが礼儀正しく話しかけてくる。誰も大声など出さず、下品なことも言わず、言葉の裏に棘をひそませ、わかりにくく自慢をし、こちらの身分や懐具合を言葉巧みに…

運送3・新年8(暁カンパニー)(ss)

ss

支社ではいっときの喧騒がおさまり、工場はいつもの音を立てて稼働している。荷降ろし場に斜めに停められたトラクターの運転席にはスーツの腕をまくった角都、助手席には防寒着にくるまり鼻先と頬をしもやけで赤くした飛段が死んだように座り込んでいる。ほ…

運送2(暁カンパニー)(ss)

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出発して六時間後、誰かほかの者を連れてくるべきだったと角都はほぞを噛んでいる。混雑はしかたがない、年末なのだから。だがしょっちゅう喉が渇いただのションベンしたいだのと隣で騒がれるのは癇に障る。小南なら完璧なリードをしたろうし、キョウヤかギ…

運送(暁カンパニー)(ss)

ss

いつもお世話になっております。さんぽやです。 今年も怠けに怠け、ろくすっぽ更新もしませんで、どうも失礼しております。 来年もダメな感じになると思いますが、お暇つぶしにでもお立ち寄りいただければ幸いに存じます。 今日も中途半端なものをちょっと書…

私を忘れないで(ss)

ss

角都と飛段はある大名の母親の護衛を請けた。後を継いだ子に疎まれ、人里離れた隠居所へ送られるのだという噂だったが、いまだにたいそうな金と力を握っており、件の隠居所もなまじな城よりもよほど立派なものであった。道中で一行は襲撃を受けたが、飛段の…

忍ぶ者(ss)

ss

賞金首を待ち伏せしているんだがとにかく寒い。まだ昼過ぎだというのにもう日が傾いていて、景色は白黒写真みたいになっている。冷えた風がコートと体の間を吹き抜ける。いい加減に引き上げようぜと言ってみたが角都はあきらめず、吹きさらしの岩の上でじっ…

たまに回ってくるツキ(ss)

ss

なぶって遊ぶうちに生け捕り予定の相手をうっかり殺してしまった。角都は激怒し、オレを殴り蹴り絞めて千切り、移動の時間を確認して裁縫しながら小言を垂れ、それでも怒りが冷めなかったらしく、これで済んだと思うなよ、と凄んだ。ヘマしたことをたっぷり…

感傷(ss)

ss

外でやるなら立位が一番簡単だ。繁華街から一本入った真っ暗な裏道で、角都は塀に両腕をついた飛段のコートをまくり、ズボンを引き下げる。尻から串刺しにされた飛段が、おえ、と呻く。マジで気持ちわりー。飲み過ぎだ、と角都は言い、飛段の股をこねる。飛…

そんな顔をさせるためにがんばったんじゃない(ss)

ss

追い続けていた賞金首をやっと探し当てた。と思ったら、少し離れた村に別の高額賞金首が現れたらしい。角都はこっちをオレに任せ、自分は別の奴を狩りに行くと言う。オレはちょっとごねた。後で合流とかめんどくせー、こっちの奴を片づけてから一緒に行こう…

みやげのスペアリブも巻き添えに(ss)

ss

昔からの友人と飲むと言って出かけた角都の帰りが遅い。というかもう朝だ。飛段はいろんなことに腹を立てている。昨日のいさかいにも、おいてきぼりを食らったことにも、朝まで相棒を待ち続けてしまった自分にも。そのうち、少し前に手に入れた起爆札のこと…

二人で担う(ss)

ss

仕事を済ませて集金に行くと、依頼主が嫌味を言いだした。邪魔者が簡単に消えたので金が惜しくなったのだろう。角都に睨みつけられると、さすがに不安になったらしく依頼主は渋々ながら全額を支払ってきた。不愉快だったが金さえ手に入れば問題はない。二人…

荒野のホットドッグスタンド(ss)

ss

炎天下だと徒歩の移動も一苦労になる。正直俺もくたびれているのだが、軟弱な相棒が休みたいと騒ぐのでなんとなく意地で歩き続けている。汗がしみた服が痒く臭い体にへばりつく。嫌がる足を前へ前へと進めていると隣の相棒が、顔も体も塩まみれだぜ、とぼや…

効果あり(ss)

ss

この一週間ほどオレと相棒は目当ての賞金首を探しつつ移動を繰り返していた。一帯が平穏な場所なのかケンカを売る忍びも見当たらず、暑いし雨は降るし虫には食われるしで地味にストレスを溜めていたオレは、憂さ晴らしに相棒にちょっかいを出すことにした。…

ぐぬぬ(ss)

ss

角都と飛段が訪れた宝飾店はたいそう混んでいた。情報屋を兼業する店主は忙しそうだ。客が切れるまで待つことにし、角都はベンチに腰を下ろして先ほど購入した古書を開いた。飛段は店内をうろうろしていたが、そのうち女の客と話し始めた。角都は横目で伺っ…

レス(memo)

7/5にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。 こあん様 すてきなご感想をありがとうございます('-'*)すっかり怠けておりますが、こあん様宅での栄養補充のおかげで現役角飛者として枯れず妄想を続けております。ドッグファイト!題をそうすれば…

衛生・サック・だと?(ss)

ss

地方の金融機関が新聞にチラシを折りこんできた。大きなゴシック文字で刷られた0.03という字を見るともなく見ていると、隣にしゃがんだ若い相棒が、そりゃねーわ、と言った。今どき0.03はねーだろ、こないだ見たときは0.01だったぜ。阿呆だと思っていた相棒…

逆転(ss)

ss

朝、川辺で角都が水を浴びていた。当たり前だが真っ裸だ。目が覚めたばかりのオレはまずそれを眺め、次いで服を脱ぐと奴の背後からそっと忍び寄った。オレの竿は公衆便所の落書きみたいに上を向いていた。そんな状態であとさき考えろってのは無理な話だ。そ…

コンビ(ss)

ss

請け負った殺しをしくじった。相手を侮った飛段が陣を踏み外した隙に逃げられたのだが、角都のフォローも遅れたからどちらもどちらなのだ。角都と飛段は再度獲物を追ったがつかまえることができず、自分たちの失敗を認めざるをえなくなった。依頼主から受け…

やりたいんならそう言えよ(ss)

ss

脚を揉め、と角都が唸る。やだね、と同じぐらい不愛想な声で飛段が返す。クソガキが、たまには年寄りを労わったらどうだ。ジジイならジジイらしくヨボヨボしてろっつーの、いちんちじゅう連れまわしやがってこっちがヨレヨレだぜ。ふん、では女でも呼んで揉…

引力(ss)

ss

道中落ち合った情報屋と角都の話がなかなか終わらない。しびれをきらしたオレは二人を置いて道を進む。太陽が照りつける岩山の小道はくねくねとして分岐し、見通しも悪い。だんだん不安になってきた。迷うのは平気だが角都とはぐれるのは避けたい。だが先に…

鼻血ブー(ss)

ss

ダメ元で今日はオレの誕生日だと言ってみた。プレゼントとかねーのォ、んじゃ一回テメーのケツ貸せよ、カネもかかんねーしいいだろ。オレがどれだけの希望を込めてこのセリフを口にしたのか角都にはわからなかったに違いない。それでも奴はこれから殺しに行…

レス(memo)

1/5にコメントをくださった方へ。ありがとうございました。 こあん様 年始のご多用の折に重ねてお出で下さってありがとうございます。嬉しい嬉しいヽ(・∀・)ノ♪ 原作でもアニメでも角都はなかなか面倒見が良く、そのうえで飛段の能力もちゃんと評価してくれる…

「カマイタチってオカマのイタチみたいじゃね?」「バカが…」(ss)

ss

相手が放った攻撃をオレは避けなかった。チャクラのかたまりは複雑な刃物のように突進するオレの肩から腰までを切り裂き、半身をボロキレに変えたが、ぎりぎりで届いた鎌が奴の太腿から血をかすめ取ってきたので勝負はついた。陣に横たわって祈りを捧げ、目…